添加剤で解消?夏の8.32後編

添加剤で解消? 夏の8・32 後編

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添加剤で解消?夏の8・32後編

8・32で夏をのりきる作戦の続きです。

はたして?・・・

熱対策考


熱対策の前提として、冷却水の量やラジエターコアのつまりや、ウォーターポンプの状態やら電動ファンのリレー、サーモスタットは正常かどうか、などなど現在の冷却系がきちんと正常かどうかのチェックが必要でしょう。

ここらへんの基本はおさえておきたい事項ですが、素人には厳しいところもありますね。

ちなみに筆者は冷却水の量を点検しただけです。(笑)



「 大きな発熱量 」 対策考

水温測定の検証で少し実証されましたが「エンジン回転を押さえ気味」にすればある程度発熱量は軽減されるようです。

と、理性では理解できるのですが、フェラーリエンジンの高回転を楽しみたい欲望はなかなか抑制する事ができません。(笑)

またラジエターの前に、どどーんと鎮座しているエアコンのコンデンサの発熱量も問題です。

もちろんエアコンを作動させなければ発熱はしないのですが、作動時にはかなりの熱発生装置と化してしまいそうです。


ラジエターではありません、エアコンのコンデンサです


その後ろにあるのがラジエター


エンジンの発熱量を減らすとなれば、オイルクーラーの大型化やエキパイに巻く冷却テープなどが有効そうです。

またフリクションロスを軽減し、しいては発熱を押さえるであろう各オイル添加剤も僅かながら期待はできそうです。



「 不充分な冷却系 」 対策孝

ラジエター関係では前述のオートザムの対策ファンや、ラジエターのコア増し、ツイン電動ファンなどが有効そうです。

しかしながらコア増しや大型ラジエターの装着は、エンジンルームにスペースがほとんど無いため、かなり厳しそうです。

またラジエターの前に鎮座しているエアコンのコンデンサを小型化したり移設する方法も考えられます、外気が直接ラジエターにあたるようになるので、かなりの有効手段になると思えます。

他にはラリー車などにあるウォータースプレーなどはどうなんでしょうかね? まさに「焼け石に水」ってカンジですが。(笑)

冷却の媒体となる冷却水も重要です、適正な量であるのが基本中の基本ですので、せめて夏前には一度点検してみましょう。

またこの冷却水にもオーバーヒートを防止する添加剤や、高効率のクーラントなどがいくつか販売されてます。

なんでも吸熱・放熱性にすぐれ、冷却水の発泡を押さえる作用があるらしく、冷却効率を高めてくれるそうです。




「 逃げない熱 」 対策孝

エンジンルームの熱を逃すといえば、まず思い付くのがボンネットやサイドフェンダーを加工してエアダクトやスリットを設けて熱気を抜く方法があります。

風の通り道を作れるので効果は大きいと思いますが、はたしてテーマに似合うか否かが疑問視されます、またボンネットの場合、雨水の侵入対策などの問題も発生しそうです。

ちなみにカーマガジンの1998/7号の編集後記にダクトを設けた8・32の写真が掲載されてます。

他にはインナーフェンダーを外して細かい網を取付けて熱を逃がす方法もあります。

外観を損なわない画期的な方法と思いましたが、エンジンルームに雨水や小石の侵入が考えられるのでTベルトへの影響が懸念されます、エンジンが汚れてしまうのも必須でしょう。


インナー外すとこんなカンジです(運転席側)



あとはエンジンルーム奥の隔壁になってるゴムを外して隙間を設けたり、ボンネットの後ろを少し浮かしたりすれば、なんとか排熱することができかもしれません。

また8・32のエンジンルームはぎっしりしていて余計な空間がほとんどありません、少しでも空間を得て風通しをよくするという意味でバッテリーの移設が考えられます。

この場合、移設をするとしたらリアトランクしか方法がありませんので、僅かながらのフロントヘビーの緩和やバッテリー自体の保護効果も期待できます。




かなり机上の空論してますが、以上が筆者の考えたところの対策案です。

何を優先して対策するかはその人の考え次第なので一概におススメはありません、案の紹介のみにとどめておきます。





1998年夏対策発動!


なんだかんだ考えましたが、結局筆者はあまり費用をかけずに対策してみようと思います、細かな工夫の積み重ねで夏を乗り切る作戦です。

で、とりあえず選んだのは添加剤だけ。(笑)


選ばれし精鋭材料


厳しい審査(?)で選んだのは1998年当時話題だったオイル添加剤 MILITEC−1 と、冷却水に添加する WAKO’SのRT( ラジエタートリートメント )です。

それと冷却水の交換が必要となるのでホルツのクーラントを用意しました。

ミリテック−1は単なるオイル添加剤でなく、「金属表面改質強化剤」と説明されています。

直接金属と反応を起こしてオイルの「つき」をよくする新たな金属面を形成してくれるそうです。

従来のテフロン系、ボロン系の添加剤とは全く違うタイプで、なかなか安くて効果ある添加剤と評判だったので今回試してみました。
( 内容量236ml、奨励使用量:エンジンオイルの5% )

RTは 「 防錆 ・ オーバーヒート防止剤 」 なる冷却水用添加剤で、錆からの保護作用と冷却水の泡立ちを抑えてオーバーヒートを防止してくれるそうです。
( 内容量:325ml、奨励使用量:冷却水容量の3〜5% )



40%希釈後の新冷却水


まずは冷却水から交換します。

今回は冷却水全部を排出させる方法はとらずに、ラジエター内にある冷却水のみを瀕回に交換する方法にしました。

この方法は作業が面倒くさいし交換効率も悪いですが、エンジン流路にエアをかませない&取り外すホースを痛めなくていい、という利点があります。

ちなみに8・32にエンジン側の冷却水ドレンプラグはありません。



注入口はサブタンクから


ラジエター向かって左側下部にあるドレンプラブから古い冷却水を排出し、サブタンクにホースを突っ込んで何回かラジエター内を洗い流します。

そして40%に希釈しておいた新冷却水をサブタンクより注入します、この時の一回排出量は3Lぐらいでした。

充填後、少し走ってサーモが開いてエンジン側冷却水と混ざったらまた排出して充填する、という面倒くさい行程を繰り返します。

最後注入前にRTを2缶添加して終了です、ちなみに計5回繰り返しました。

この場合8・32の冷却水量は9.8Lですので計算上の新冷却水率は85%になります、一方RT率は6.6%です。

なお、希釈水は贅沢(?)にも蒸留水を使用してみました。




ミリテック−1はオイルレベルを確認したあと、そのまま2ボトルを添加しています、この場合8・32のオイル容量(全量)は9.9Lもありますので添加率が4.7%となります。

また現在のオイルは交換後3,000kmも走っているのでかなりくたびれているとは思いましたが、まあそれはそれで気にしないことにしました。(笑)

以上、軽いジャブみたいな夏対策を施してみました。




対策後の水温検証


添加後にしばらく水温を観察してみましたが、確かに水温が以前より上昇するスピードが遅くなった&温度の落ちが早くなったような気がします。

これを確認するため、再び例の水温測定を行ってみました。

ちなみに測定は外気温が未添加時と同じ37℃になった日に行い、同じ道を同じように走って(比較的高回転走行です)同じ場所に停車して行ってます。

またカッコ内は未添加時の値です。




状 態 外 気 温
(℃)
水 温
(℃)
油 温
(℃)
エアコン
( 設定18℃ 風量2 )
通常走行 37 (37) 95 (93) 105 (100) あり
 2分の停車 (信号待ち想定) 37 (37) 98 (97) 107 (103) あり
 5分の停車 (少渋滞想定) 37 (37) 99 (103) 110 (105) あり
10分の停車 (渋滞想定) 37 (−) 105 (−) 109 (−) あり
20分の停車 (大渋滞想定) 37 (−) 109 (−) 110 (−) あり
22分ジャストで 水温110℃ 油温112℃ を達成!
( 未添加は8分50秒で110℃ )
※外気温は装備されている外気温計の値です。(1998/8/16 測定)



この結果を見ると、水温上昇の緩和化は感覚的なものだけではなく、きちんと数字にて効果が見出せました。

表を見ると5分までの上昇具合こそ未添加時とさほど変わりませんが、それ以後の水温上昇が緩やかなものになってます。

結局は添加しても110度までは上昇してしまいましたが、未添加よりは13分以上もの時間的余裕が生まれてます。

走行条件が厳密に同じでないことは考慮しなければなりませんが、確かに「水温上昇を抑える」効果はあるようです。

はたしてこの時間を長い・短いとするかは一概に判断できませんが、オーバーヒートになるまでの時間的な余裕が得られるのはやっぱり有用であると思えます。



夏対策 その後


添加後3週間が経過しました時点では、極めて良好です、エアコンON&外気温が35度以上でもフツーの運転( 気持ち抑えるエンジン回転 )さえしてれば水温が105度以上になることはありません。

通常走行時で水温92〜94度、ちょっとした渋滞でもなんとか100度あたりでこらえてくれてます。

また、検証こそできませんでしたが、水温の下がりが速くなったのもはっきりとわかります、しかも対策前には見られなかった「水温85度」というのも瀕回に目撃するようになりました。




で、なんやかんやですでに9月末です、おそらくはこのまま夏は乗り切れてしまうものと思われます。

この程度の対策で平気だったのは涼しい日が多かった今年の夏のおかげだという話もありますが、たとえ暑い日でもエアコンを切らなければならないなどの我慢を強いられることが皆無になったので、やはり「 添加剤は予想以上の効果があった 」という印象です。

また違う見方をすれば、添加剤だけで最低限度実用域の有効冷却能が得られたのですから、「 そんなに元々の冷却能も悪いものではない 」とも思えそうです。



「 夏の8・32 」を考察する


夏前には「 夏はまったく乗れない 」「 オーバーヒート確実で実用的ではない 」などの記事や噂を読んだり聞いたりしていたので、かなり慄いてました。

当然ある程度の出費までも覚悟していたのですが、なんて幸いなことに最小限( 最小費用 )の対策で無事に夏を過ごせました。

しかも筆者の使用状況&交通環境ならば、来年の夏も同程度の対策で大丈夫だろうという変な確信みたいなものまであります。( その後売却してしまいましたので未確認です )

それでもこの対策では、結局水温がレッドゾーンまで上昇してしまうことが確認されてるので、多少の余裕は得られるもののやはり完璧な熱対策とはなりえません。

たぶんこの方法は「 多少我慢を強いられるがなんとか耐えられる 」程度のものでしょう、「 夏はエアコンをガンガンかけて渋滞に突っ込んでいく 」などの好戦的なオーナーには、やはり本格的な夏対策が必要と思われます。

どこまでやるかは・・・ やはりオーナーの考え次第ですが。

個人的には「 8・32は予想してたより夏に強く、予想してたより我慢を強いられることが無かった 」の感があります。

たとえ無対策のままでもエアコンさえかけなければ、オーバーヒートになる気配はありませんでしたし、エンジン回転を抑え気味にしてればエアコンもある程度使用してても大丈夫です。

少なくとも「 夏にまったく乗れない 」というのは大ウソです。乱暴ですが夏に少し弱い事さえ承知しとけば少し気を使うだけで、べつだんどうってことないレベルかと思います。




もっとも8・32の魅力はその価値を見出した人ならば、たとえ夏にまったく乗れないとしてもその価値は不変なのではないでしょうか?

筆者はその域に達しませんでしたが。(笑)



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