爆音スイッチ

爆音スイッチの詳細

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爆音スイッチの詳細

イトレーのマフラー 排気バイパスバルブ

その排気音で世界中のフェラーリファンを魅了している(?) フェラーリF355や360モデナですが、カー雑誌やカービデオ等で「 爆音スイッチ 」とか「 爆音モード 」とか「 サイレントモード 」とかの言葉を聞いたことはありませんか?

ジツはこれ、本来装備されてはいない機能なんです。

こちらではその通称「 爆音スイッチ 」 について説明いたします。


簡単に説明しますと、車内に新造したSWにて排気バイパスバルブの開閉を手動にて行い、本来奏でることの出来ない高回転域の快音を低回転域でも楽しむというモディファイです。





「 排気なんとかバルブ? なんじゃそりゃ? 」 と思われた方にF355の排気系を例にして説明します。

まず、F355の排気には2つの経路が存在します。一旦はエキゾーストマニホールドで両バンク8気筒の排気ガスが1つに集合しますが、そこから上下2系統の経路に分岐します。

ざっくばらんに言うと、下が低中回転域用の経路で、上が高回転域用の経路。

この高回転域用経路の途中にはまるで関所のように排気バイパスバルブが鎮座しており、高回転を検知してはじめてバルブが開くようになっています。

この複雑な排気経路の意義には、やれ低速域のトルク増大のためとか、高速域の延びのためとか、はてまた騒音対策や排ガス規制のためとか諸説ささやかれています。

ちなみに実際の排気経路は左右にも分岐してます。

画像の下側の低中回転域用は左右2本でサイレンサー部へ、上の高回転域用も左右に分岐しますがY管でひとつにまとまってサイレンサーへ導かれてます。

なんにせよこの高回転域用のバルブが開くと、あの355・モデナ独特の「カーン」という快音を奏でてくれるのです。

これを制御している排気バイパスバルブを手動にてオン・オフできるようにし、低回転域あるいはアイドリングでさえ快音を楽しもうとしたモディファイが爆音SWです。

確か爆音SWの存在は電気系に詳しい355オーナーが最初だったと記憶してますが、355スパイダーに乗り換えた清水草一氏がこのSWを施したことで大ブレイク。

今や社外マフラーを装着している355の半数近くがこのSWを装備されてると思います。

さらに社外マフラー側も大躍進、高回転域用に独立したサイレンサーを有し、高音をより追求した上下2段タイコのタイプが数多くリリースされております。

有名なところでは伊藤レーシング、MSレーシング、クライスジーク、キダスペシャルなど、どこもが2段タイコ形状のマフラーをラインナップしてます。

もはや社外マフラーのスタンダード形状ですね。



イトレーは2段タイコ tubi は一体型

この爆音SW、今ではかなり有名なモディファイになってしまったので、マフラー販売側でもちゃんと対応してくれるとこがほとんどです。

たいていの販売ショップさんでマフラー購入と同時に設置することが可能になってると思います、もちろん後付けでもOK。

その取付け工賃は355の型式やショップ毎にまちまちみたいですが、おおよそ3〜5万ぐらいみたいです。

また、同じようような排気経路を有する現行360モデナもかなりの率でこの爆音SWが装着されてると思います。

もはや社外マフラー+爆音SWはワンセットの商品ですね。(笑)


爆音SWそのものは、たいていの場合あまり使わない既存のSWを利用することが多いです、利用の一番人気はセンターコンソールのパーキングライトSW。

まあ、フューエルオープナーとかを流用する方はおりませんが。(笑)

筆者もパーキングライトSWを流用してますが、XRシャーシでは無くなってしまったABSキャンセラーの位置に設置されてる方も多いです。

ちなみにこの排気経路を採用しているのはF355と後継の360モデナやF430(たぶん)だけです。

なのでそれ以前の348や328、308などには基本的に爆音SWは設置できません。歴代の12気筒シリーズにも採用されてないと思います。



筆者355はパーキングライトSWを利用しました XRにはこのABSキャンセルがありません

と、ここよりF355の場合についてさらに細かく説明します。

別頁にも記載してますが、F355の排気バルブはそれを制御している電磁弁の制御方法がM2.7(PA・PRシャーシ)とM5.2(XRシャーシ)で異なっています。

M2.7のそれはエンジン負荷、アクセル開度、エンジン回転あたりのデータでソレノイドを動かし、負圧の動力で排気バルブを動かす構造になっています。

一方、M5.2はエンジン負荷による制御がカットされていて、アクセル開度とエンジン回転ぐらいで制御されてる様相です。

一番わかりやすいのは空ぶかしでしょうか、M5.2は空ぶかしでも排気バルブは開きますから。M2.7は空ぶかしではもちろんのこと、1速とかの負荷が軽い時には開きません。

つまりM2.7の方が少し複雑な制御方法になってます。

ちなみにどちらの制御でも負圧は単に動力として使っているだけで、制御自体は完全にモトロニックECUとソレノイドだけの電気的な制御になっています。

なのでどちらのタイプでも電気的なSW配線を割り込ませることにより、手動にてバルブ開閉をコントロールできる爆音SWを設置することが可能となります。

注意すべきは爆音SWを設置することにより、ノーマルのバルブ開閉動作をどうするかってことです。

もちろん理想は、爆音SWがオフならば、通常の制御によりバルブ開閉のオンオフをしてくれるノーマルの動作をそのまま残すってことになります。

反対にバルブ開閉を完全に手動でコントロールしてしまい、ノーマルのバルブ動作を殺してしまうって方法もあります。

この場合、SWがオフならばどんな高回転になろうがバルブは開なくなってしまいます。



作業的にはノーマル動作を残す方が、配線が複雑となりますので工賃がアップしたりします、後者の方は配線が簡単になりますので比較的安価な工賃になるようです。

数は少ないですが、安易にノーマル動作を殺してしまう配線方法しか行ってないショップも存在するようなので注意が必要です。

爆音SWを付けると必ずノーマル動作が死んでしまうよ、って説明をされたらそのショップは敬遠した方が無難でしょう。

また、M2.7はEgルームに、M5.2は室内にとモトロニックECUの位置が異なっていますので、これによっても工賃に差がでたりします。

さらにノーマルの動作を残す場合、ECUがバルブを作動させるためのソレノイドバルブ及び配線をモニタリングしてますので、爆音スイッチ入れたことをエラーと判断してしまいます。

これによりメーターパネル内の「 CHECK ENGINE 5−8 」ってランプがコンマ何秒か点灯します。

もちろんこれは異常ではなく、特に問題はありません。

筆者的には目で確認できる爆音SWと理解し、かえって重宝したりしてます。(笑)

ただメンテナンスとかでフェラーリテスターを通す場合にほとんどがエラーと診断されてしまうので、この旨はメンテされるショップに必ず伝える必要があります。

また、以前には電気式なSWではなく、ワイヤーにて開閉をコントロールする 「 機械式爆音SW 」 な商品も販売されてました。

もちろん完全な手動コントロールになるためノーマル動作は死んでしまいます、今となっては電気的な制御が普及したため忘れ去られたようですが。

さらには筆者がかつてそうしていたように、バルブを全開のまま固定して乗ってる方もおります、この場合は常に爆音モードになります。

アプローチこそ面倒ですが、ロッドをワイヤーで引っ張るだけの安価な方法なので、DIY派にオススメです。 (DIY派ってのがいればですが(笑) )



しっかし、こんな機能を生み出したのも 「 イイ音 」 を求めるフェラーリオーナーの執念なんでしょうね。確かにその魅力は倍増され、乗るたびに至福のサウンドを堪能することができます。

考案された方に心より敬服いたします、ホント。



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